2008.02.24 (Sun)
第25回フェブラリーS
関東では春一番が吹いたといってたが、京都では昨日の夕方からまた雪が降り積雪の朝を迎えた。そのせいで今日の京都競馬は1日中ダート競馬。それにより何とつまらない競馬ばかりを見せられたことか・・・・。
こんな日に東京では今年最初のグレードⅠレース、第25回フェブラリーS(GⅠ・4歳以上、ダート1600m、16頭)が行われた。日本では花形でないダート競馬であるが、このほどヴァーミリアンがこれを勝って、ドバイのワールドCに参戦の予定らしい。はたして上手くいくかどうか・・・・。また昨年の皐月賞馬ヴィクトリーが出走してきた。どういう理由で出てきたのか判らないが、取捨に困るなあ・・・・。
人気はヴァーミリアンが断トツで、フィールドルージュ、ワイルドワンダーが2、3番人気を分け合った形となった。
いよいよスタートである。ゲートが開いたが、ロングプライドとフィールドルージュのダッシュがつかない。あっという間にフィールドルージュは取り残されてしまった。人気の馬なのにどうしたというのだ。さあ、先行争いであるが、皐月賞馬のヴィクトリーが先頭を奪った。ダートコースは初めてだというのに、行きっぷりがいい。近走は菊花賞16着、ジャパンC18着と馬に精彩がなくなったが、ダート路線に活路を見出そうと参戦したのだろうか、とにかくガリガリとぶっ飛ばす。2番手にはデアリングハート、3番手にメイショウバトラー、4番手にブルーコンコルドが続き、5番手にビッググラス、6番手に本命ヴァーミリアンが外目を通って悠々と進む。その後ろには公営の雄アンバサンド、さらには12歳馬のノボトゥルー、その後からリミットレスビッドが続き、そのインコースにはクワイエットデイ、アウトコースに人気の1頭で期待の関東馬のワイルドワンダーが追走する。そして、白い芦毛馬フジノウェーブがいて、外側に追い込みのロングプライド、後方にはメイショウトウコン、最後方にドラゴンファイヤーがいる。そして、もう1頭大きく離されてフィールドルージュであるが、はるか圏外・・・・いったい何があったのだろうか・・・・。
先頭のヴィクトリーはスタートから飛ばし12.4---10.9---11.5---11.9---12.4とハロン毎のラップが芝並みに速い。1000m通過が59秒1でちょっとオーバーペースではないかと不安が先にたつ。それでも本命のヴァーミリアンは3コーナーから楽々と外を通って好位置に上がってくる。これを見てワイルドコマンダーもついてくる。直線コース入り口でもヴィクリーが頑張っている。その外にデアリングハート、ビッググラス、さらに外には桃色の帽子の人気馬2頭、ヴァーミリアンとワイルドコマンダーが肉薄してくる。あと400m、ヴィクトリーをかわしてデアリングハートが先頭に出る。内からブルーコンコルドもやって来る。そしてヴァーミリアン、ワイルドコマンダーが迫る。残り300m、ヴァーミリアンとワイルドコマンダーの一騎打ちか・・・。あと200m、完全にここでヴァーミリアンが先頭に立つ。ワイルドワンダーは引き離される。ここでブルーコンコルドがワイルドワンダーを捉え2番手に上がる。外からロングプライドも伸びる。でもヴァーミリアンは強くて余裕を持って先頭でゴールイン。
1着ヴァーミリアン 1分35秒参、2着ブルーコンコルド 1馬身3/4、3着ワイルドコマンダー 2馬身、4着ロングプライド 1馬身1/4、5着リミットレスビッド 1/2。
これでヴァーミリアンと武豊騎手は3月末にドバイへ参戦することになるだろう。このところダートのGⅠレースばかり使われて3連勝で国内に敵無しとなってしまった。でも海外には強豪が何頭もいる。どれだけ通用するか見てみたいが、勝つのは容易ではないだろう。
ところでヴィクトリーは完走した馬の中ではシンガリであった。本当に昨日のフサイチホウオーといいヴィクトリーといい、このところの不振が目に付いて離れない。このあたりの馬が復活してくれないと競馬も盛り上がらないと思うのであるが・・・・・。
こんな日に東京では今年最初のグレードⅠレース、第25回フェブラリーS(GⅠ・4歳以上、ダート1600m、16頭)が行われた。日本では花形でないダート競馬であるが、このほどヴァーミリアンがこれを勝って、ドバイのワールドCに参戦の予定らしい。はたして上手くいくかどうか・・・・。また昨年の皐月賞馬ヴィクトリーが出走してきた。どういう理由で出てきたのか判らないが、取捨に困るなあ・・・・。
人気はヴァーミリアンが断トツで、フィールドルージュ、ワイルドワンダーが2、3番人気を分け合った形となった。
いよいよスタートである。ゲートが開いたが、ロングプライドとフィールドルージュのダッシュがつかない。あっという間にフィールドルージュは取り残されてしまった。人気の馬なのにどうしたというのだ。さあ、先行争いであるが、皐月賞馬のヴィクトリーが先頭を奪った。ダートコースは初めてだというのに、行きっぷりがいい。近走は菊花賞16着、ジャパンC18着と馬に精彩がなくなったが、ダート路線に活路を見出そうと参戦したのだろうか、とにかくガリガリとぶっ飛ばす。2番手にはデアリングハート、3番手にメイショウバトラー、4番手にブルーコンコルドが続き、5番手にビッググラス、6番手に本命ヴァーミリアンが外目を通って悠々と進む。その後ろには公営の雄アンバサンド、さらには12歳馬のノボトゥルー、その後からリミットレスビッドが続き、そのインコースにはクワイエットデイ、アウトコースに人気の1頭で期待の関東馬のワイルドワンダーが追走する。そして、白い芦毛馬フジノウェーブがいて、外側に追い込みのロングプライド、後方にはメイショウトウコン、最後方にドラゴンファイヤーがいる。そして、もう1頭大きく離されてフィールドルージュであるが、はるか圏外・・・・いったい何があったのだろうか・・・・。
先頭のヴィクトリーはスタートから飛ばし12.4---10.9---11.5---11.9---12.4とハロン毎のラップが芝並みに速い。1000m通過が59秒1でちょっとオーバーペースではないかと不安が先にたつ。それでも本命のヴァーミリアンは3コーナーから楽々と外を通って好位置に上がってくる。これを見てワイルドコマンダーもついてくる。直線コース入り口でもヴィクリーが頑張っている。その外にデアリングハート、ビッググラス、さらに外には桃色の帽子の人気馬2頭、ヴァーミリアンとワイルドコマンダーが肉薄してくる。あと400m、ヴィクトリーをかわしてデアリングハートが先頭に出る。内からブルーコンコルドもやって来る。そしてヴァーミリアン、ワイルドコマンダーが迫る。残り300m、ヴァーミリアンとワイルドコマンダーの一騎打ちか・・・。あと200m、完全にここでヴァーミリアンが先頭に立つ。ワイルドワンダーは引き離される。ここでブルーコンコルドがワイルドワンダーを捉え2番手に上がる。外からロングプライドも伸びる。でもヴァーミリアンは強くて余裕を持って先頭でゴールイン。
1着ヴァーミリアン 1分35秒参、2着ブルーコンコルド 1馬身3/4、3着ワイルドコマンダー 2馬身、4着ロングプライド 1馬身1/4、5着リミットレスビッド 1/2。
これでヴァーミリアンと武豊騎手は3月末にドバイへ参戦することになるだろう。このところダートのGⅠレースばかり使われて3連勝で国内に敵無しとなってしまった。でも海外には強豪が何頭もいる。どれだけ通用するか見てみたいが、勝つのは容易ではないだろう。
ところでヴィクトリーは完走した馬の中ではシンガリであった。本当に昨日のフサイチホウオーといいヴィクトリーといい、このところの不振が目に付いて離れない。このあたりの馬が復活してくれないと競馬も盛り上がらないと思うのであるが・・・・・。
2008.02.24 (Sun)
小説『阪急電車』有川浩著を読む
先日、大手書店の入り口で山積みしてあるハードカバーの書籍を見つけ、そのタイトルに惹き付けられ思わず買ってしまった。題名は『阪急電車』有川浩著・・・・・題名から阪急の社史かその手の本だと連想したのである。それこそ、入り口に積み上げられているから、おそらく話題の書なんだろうけど、阪急の関係の書籍なんて珍しいことではないし、それが何故、こんなに並べてあるのだろうかと手にとって拝見したのである。するとページを捲ってから、すぐにその理由が判った。これは阪急の社史でもなく小説だったのである。
それも阪急の一支線である今津線を舞台にした小説である。それを知ると私は興味が沸々と湧いてきて、この新刊本を買う羽目になってしまった。著者は有川浩という高知県出身の30代の女性である。この人は初めて聞く名前なのであるが、既に『塩の街』という作品で電撃小説大賞を受賞し、『空の中』『海の底』等の話題作も書き、近著『図書館戦争』では『本の雑誌2006年上半期ベスト1』に選ばれたという。そして、同書は人気を呼び、このたびアニメ化されることが決定したという。でも、私は最近の音楽と同様、最近の文学たるものには疎いので、皆目、何のことか判らなかったのであるが・・・・・。そんなこんなで『阪急電車』という小説を読むことになってしまった。それも電車の中で起こる日常の話である。人の出会い、人の別れ、生活の中で体験する様々な出来事を、今津線という短い路線の中に限定して話は展開されるのである。
ところで阪急電車というのは、全国的にはどの程度の知名度があるのだろうか・・・。この本はタイトルからして関西圏では売れているようだが、全国的にはどうかなあという疑問が成り立つ。おそらく東京の路線だとテレビ・ドラマで京王線なり小田急線なり東急なりが出てくるので、日本全国知れ渡ることとなるが、関西の路線というのは全国ネットで紹介されることは滅多にないだろうから、知名度という点では弱いだろう。でも、現在の日本で、私鉄の在り方を最初に示したのが阪急電鉄だというと判るであろうか・・・・・。昔、小林一三という人がいて、この人が阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道という鉄道を明治40年(1907年)に敷いた。それは大阪~神戸間、大阪~京都間、大阪~奈良間という既存の都市の間ではなく、大阪の梅田と兵庫県の宝塚間だったのである。当時の宝塚というのは兵庫県武庫群、兵庫県川辺郡と呼ばれ、小浜村、長尾村、西谷村、良元村に分かれていた。つまり温泉以外、何もないただの田舎だったのである。また現・阪急宝塚線の沿線は周辺に大きな街がなく一面の田園地帯で、こんなところに電車を走らせたのである。でも小林一三には秘策があった。沿線の土地を買占め、宅地造成し住宅を建て分譲販売した。一方、終点の宝塚には温泉に浸かれる娯楽施設を建て、少女による歌劇団を組織した。それが、その後の宝塚歌劇であり、宝塚ファミリーランドであった。また逆に起点の梅田駅には日本で初となるターミナル・デパート阪急百貨店をオープンさせ、周辺や沿線に住む多くの人を呼び込んだのである。
このようにして沿線の開発に着手し、街を発展させ、後年に神戸線、京都線と沿線を延ばしていき、さらにはプロ野球球団(阪急ブレーブス)と映画会社(東京宝塚映画・・・略して東宝)、劇場(梅田コマ劇場、新宿コマ劇場)の経営に乗り出したのである。こういった手法で阪急が私鉄経営に長じたことにより、東急の事実上創業者である五島慶太が、小林一三に経営方法を学びに来たことは有名な話である。その結果、五島慶太は東京で同じことをした。それは渋谷の街の開発と、田園調布の宅地造成である。だから小林一三の阪急電車が如何に時代を先取りした鉄道会社か判るだろう。
それでこの『阪急電車』という小説であるが、阪急の宝塚から今津までの10駅、距離にしてたった9.3km、でも小説では西宮北口から今津までの間は話から省いてあるので、話の中に登場する駅は宝塚、宝塚南口、逆瀬川、小林(おばやし)、仁川、甲東園、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口の8駅、7.7km、所要時間14分の路線で起こる様々な話ということになる。でもこの短い路線の沿線には、宝塚大劇場、ガーデンフィールズ(旧宝塚ファミリーランド)、手塚治虫記念館、宝塚ホテル、宝塚ゴルフクラブ、甲山森林公園、仁川ピクニックセンター、仁川テニス場、阪神競馬場、西宮カントリークラブ、関西学院大学、神戸女学院大学、門戸厄神、兵庫県立芸術センター、建築中の西宮ガーデンズ(西宮球場跡)、また、その他のショッピングセンター、お洒落なスイーツ店、レストラン、大学、高校も多く、色々な種類の人が集まってくるところでもある。それに今津まで足を延ばせば、甲子園球場も近いという立地条件で、関西の富裕層が住みたがる地域と言っても過言ではない。つまりそのような路線を走る電車の中のお話であるということを頭に描いて欲しいと思う。
登場人物は何組かいて、オムニバス形式で出てくるが、それぞれが何らかの関係で繋がっていて、巧に話が構成されている。
まずは宝塚駅での話・・・・・征志という本好きの青年がいる。彼は二週間に一度、宝塚中央図書館で本を借りるが、何時も読みたい本を先に奪われる。その本を奪うのは何時も同じ女性で、それが征志の好みのタイプの女性だった。或る日、宝塚から乗り合わせた電車で、その女性と隣り合わせになる。それが偶然なのか判らないが、そこから彼女との会話に発展していく。
宝塚南口では白いドレスを着た結婚式帰りの美女が乗って来た。しかし、彼女は花嫁ではない。結婚式に招待された女性だったのである。でも何か訳がありそうで・・・・・、顔は怨念に溢れていた。何が彼女にあったのだろうか・・・・・。
逆瀬川では女の子の孫を連れたお祖母さんが乗ってきた。彼女達は白いドレスの女性の異様な姿に驚くが、お祖母さんは彼女に何があったのか見抜いていた。それで彼女にいい街だから、小林で降りるように説得する。
一方、小林で降りていった美女を見ていた若いカップルは、結婚式の招待者が白いドレスを着て結婚式に行くものではないと、喧々囂々と論戦を繰り広げていた。それは何気ない会話であったが、とうとう喧嘩にまで発展し、次の仁川駅に到着するや彼は怒って、突然、競馬に行くと捨て科白を残して電車から降りてしまった。そのカップルの有様を一部始終、見ていた孫を連れたお祖母さんは、下らない男ね。やめておけば? 苦労するわよ。と説得する。
それも阪急の一支線である今津線を舞台にした小説である。それを知ると私は興味が沸々と湧いてきて、この新刊本を買う羽目になってしまった。著者は有川浩という高知県出身の30代の女性である。この人は初めて聞く名前なのであるが、既に『塩の街』という作品で電撃小説大賞を受賞し、『空の中』『海の底』等の話題作も書き、近著『図書館戦争』では『本の雑誌2006年上半期ベスト1』に選ばれたという。そして、同書は人気を呼び、このたびアニメ化されることが決定したという。でも、私は最近の音楽と同様、最近の文学たるものには疎いので、皆目、何のことか判らなかったのであるが・・・・・。そんなこんなで『阪急電車』という小説を読むことになってしまった。それも電車の中で起こる日常の話である。人の出会い、人の別れ、生活の中で体験する様々な出来事を、今津線という短い路線の中に限定して話は展開されるのである。
ところで阪急電車というのは、全国的にはどの程度の知名度があるのだろうか・・・。この本はタイトルからして関西圏では売れているようだが、全国的にはどうかなあという疑問が成り立つ。おそらく東京の路線だとテレビ・ドラマで京王線なり小田急線なり東急なりが出てくるので、日本全国知れ渡ることとなるが、関西の路線というのは全国ネットで紹介されることは滅多にないだろうから、知名度という点では弱いだろう。でも、現在の日本で、私鉄の在り方を最初に示したのが阪急電鉄だというと判るであろうか・・・・・。昔、小林一三という人がいて、この人が阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道という鉄道を明治40年(1907年)に敷いた。それは大阪~神戸間、大阪~京都間、大阪~奈良間という既存の都市の間ではなく、大阪の梅田と兵庫県の宝塚間だったのである。当時の宝塚というのは兵庫県武庫群、兵庫県川辺郡と呼ばれ、小浜村、長尾村、西谷村、良元村に分かれていた。つまり温泉以外、何もないただの田舎だったのである。また現・阪急宝塚線の沿線は周辺に大きな街がなく一面の田園地帯で、こんなところに電車を走らせたのである。でも小林一三には秘策があった。沿線の土地を買占め、宅地造成し住宅を建て分譲販売した。一方、終点の宝塚には温泉に浸かれる娯楽施設を建て、少女による歌劇団を組織した。それが、その後の宝塚歌劇であり、宝塚ファミリーランドであった。また逆に起点の梅田駅には日本で初となるターミナル・デパート阪急百貨店をオープンさせ、周辺や沿線に住む多くの人を呼び込んだのである。
このようにして沿線の開発に着手し、街を発展させ、後年に神戸線、京都線と沿線を延ばしていき、さらにはプロ野球球団(阪急ブレーブス)と映画会社(東京宝塚映画・・・略して東宝)、劇場(梅田コマ劇場、新宿コマ劇場)の経営に乗り出したのである。こういった手法で阪急が私鉄経営に長じたことにより、東急の事実上創業者である五島慶太が、小林一三に経営方法を学びに来たことは有名な話である。その結果、五島慶太は東京で同じことをした。それは渋谷の街の開発と、田園調布の宅地造成である。だから小林一三の阪急電車が如何に時代を先取りした鉄道会社か判るだろう。
それでこの『阪急電車』という小説であるが、阪急の宝塚から今津までの10駅、距離にしてたった9.3km、でも小説では西宮北口から今津までの間は話から省いてあるので、話の中に登場する駅は宝塚、宝塚南口、逆瀬川、小林(おばやし)、仁川、甲東園、門戸厄神(もんどやくじん)、西宮北口の8駅、7.7km、所要時間14分の路線で起こる様々な話ということになる。でもこの短い路線の沿線には、宝塚大劇場、ガーデンフィールズ(旧宝塚ファミリーランド)、手塚治虫記念館、宝塚ホテル、宝塚ゴルフクラブ、甲山森林公園、仁川ピクニックセンター、仁川テニス場、阪神競馬場、西宮カントリークラブ、関西学院大学、神戸女学院大学、門戸厄神、兵庫県立芸術センター、建築中の西宮ガーデンズ(西宮球場跡)、また、その他のショッピングセンター、お洒落なスイーツ店、レストラン、大学、高校も多く、色々な種類の人が集まってくるところでもある。それに今津まで足を延ばせば、甲子園球場も近いという立地条件で、関西の富裕層が住みたがる地域と言っても過言ではない。つまりそのような路線を走る電車の中のお話であるということを頭に描いて欲しいと思う。
登場人物は何組かいて、オムニバス形式で出てくるが、それぞれが何らかの関係で繋がっていて、巧に話が構成されている。
まずは宝塚駅での話・・・・・征志という本好きの青年がいる。彼は二週間に一度、宝塚中央図書館で本を借りるが、何時も読みたい本を先に奪われる。その本を奪うのは何時も同じ女性で、それが征志の好みのタイプの女性だった。或る日、宝塚から乗り合わせた電車で、その女性と隣り合わせになる。それが偶然なのか判らないが、そこから彼女との会話に発展していく。
宝塚南口では白いドレスを着た結婚式帰りの美女が乗って来た。しかし、彼女は花嫁ではない。結婚式に招待された女性だったのである。でも何か訳がありそうで・・・・・、顔は怨念に溢れていた。何が彼女にあったのだろうか・・・・・。
逆瀬川では女の子の孫を連れたお祖母さんが乗ってきた。彼女達は白いドレスの女性の異様な姿に驚くが、お祖母さんは彼女に何があったのか見抜いていた。それで彼女にいい街だから、小林で降りるように説得する。
一方、小林で降りていった美女を見ていた若いカップルは、結婚式の招待者が白いドレスを着て結婚式に行くものではないと、喧々囂々と論戦を繰り広げていた。それは何気ない会話であったが、とうとう喧嘩にまで発展し、次の仁川駅に到着するや彼は怒って、突然、競馬に行くと捨て科白を残して電車から降りてしまった。そのカップルの有様を一部始終、見ていた孫を連れたお祖母さんは、下らない男ね。やめておけば? 苦労するわよ。と説得する。
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